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AIニュース日報 2025/8/9

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今日の要約

マイクロソフトがGPT-5をコアエコシステムに完全統合。新モデルはタスクの複雑性に応じて自動で切り替わる。
AIプログラミングツールCursorが有料ユーザー向けにGPT-5の期間限定無料体験を提供、さらに新CLIツールも発表。
研究により、大規模言語モデルが中間情報を無視する「アテンション・ベイスン」欠陥が明らかに、最適化手法も提案済み。
業界動向では、Grok 4がチェス大会でまさかの敗北、一方汎用ロボット愛宝が会場を魅了。
トップモデルの性能評価ではそれぞれ強みがあるが、AIの幻覚問題には引き続き注意が必要。

製品と機能の更新

GPT-5の登場は大きな波紋を呼んだけれど、マイクロソフトは電光石火の勢いで、これをCopilot、Azure、GitHubといったコアエコシステムに全面統合すると発表したんだ🚀。新モデルが導入した革新的なスマートモードは、タスクの複雑さに応じて「脳」を自動で切り替える、まさに効率爆上げの神ツールってわけ。今回の緊密な連携は、マイクロソフトとOpenAIの提携 - (AIニュース) がAIの応用範囲をガラッと変えつつあることを示してるし、もうインテリジェンス革命の幕開けだね！
AIプログラミングツールCursorが、デベロッパーに太っ腹なプレゼントを用意してくれたよ🎉。有料ユーザーは今、GPT-5のパワフルなコーディング能力を期間限定で無料体験できるんだ。それに加えて、Cursorは気の利いたことに、新しいCLIツールもリリース。これでコマンドラインが好きな人たちは、ターミナルから離れることなくAIパワーを存分に味わえるね。この動きは、激しい競争の中でCursorが自社の市場での地位（AIニュース）を盤石にするための、まさに妙手と言えるね。
GoogleはPixel 10シリーズで「カメラコーチ」機能を導入する予定だよ📸。これは、シャッターを切る前にAIが構図や光の加減についてアドバイスをくれる機能で、まるでスマホに写真の巨匠が住み着いたみたいなんだ。でも、この事前指導技術 - (AIニュース) は、プライバシーやクリエイティビティの均一化について、深い議論を呼んでるんだよね🤔。初心者が一瞬でプロ並みに変身できるのはすごいけど、将来、SNSがテンプレートみたいなAI写真だらけになっちゃうのかな？

最先端研究

大規模言語モデル（LLM）には、ある面白い「欠陥」があるんだって。まるで最初と最後だけを見る学生みたいに、真ん中の情報を系統的に無視しちゃうんだ。この現象は「アテンション・ベイスン（注意力盆地）」って、うまいこと名付けられてるね。この発見に基づき、研究者たちはAttnRankという巧妙な並べ替え手法 - (AIニュース) を提案したんだ。再トレーニングなしでモデルが重要な情報に集中できるようになるなんて、まさに「馬を走らせるのに餌は不要」って感じの模範的アプローチだよ✨。
日々増加するサイバー攻撃にどう対応する？ある論文が、新しいアプローチを提案してるんだ。特別に改良された軽量版のLLMを使って意思決定をアシストすることで、コストと「モデルの幻覚」のリスクを効果的に減らせるんだって。この方法では、ファインチューニング、情報検索、そして将来を見据えた計画という3つのステップを踏むことで、生成された緊急対応計画（AIニュース）は、復旧時間が22%も短縮されるだけでなく、普通のハードウェアでもサクサク動くんだから、サイバーセキュリティ分野の「頼れる軍師」って感じだね🛡️。

業界展望と社会への影響

皆が注目する初のLLM国際チェス対抗戦で、試合前の優勝候補だったGrok 4が、なんとOpenAIのo3に0-4という大差で完敗するという、まさかの大番狂わせが起きたんだ🤣。Grok 4は決勝戦でまるで別AIみたいに初歩的なミスを連発し、「冷酷なキラー」から「将棋界の負け犬」へと変わり果てて、試合の様子（AIニュース）はドラマティックな展開だったよ。この対決は技術の競争だけでなく、AI業界で「AI心理学」の古典的ケース - (AIニュース) として語り草になってるね。
北京の世界ロボット大会で、会場の主役は間違いなく智平方（ちへいほう）の汎用ロボット「愛宝（アイバオ）」だったんだ🤩。時にはロックドラマー、時にはドリンクショップの店長に早変わり！観客から感嘆の声が上がってたよ。その裏には、世界初のフルスタック自社開発GOVLA大規模モデルがあり、これによって愛宝は全領域認識と全身協調という並外れた能力を授けられたんだ。もはや単一タスクしかこなせない「スペシャリスト」じゃないんだよね。愛宝が複数の実用シーンでの応用 - (AIニュース) に登場してるのを見ると、汎用ロボットがSFの世界から現実になることを予感させるね。
GPT-5の登場で、ついに三大トップモデルのバトルが本格的に始まったね👑。総合評価によると、GPT-5は万能な優等生みたいに、全科目でバランスよく優秀なんだ。Claude 4 Opusはプログラミング分野の天才で、コード能力はダントツ！そしてGemini 2.5 Proは、超巨大なコンテキストウィンドウのおかげで、長文の処理では右に出るものなしって感じ💡。この詳しいモデル比較レポート - (AIニュース) は、ニーズの違うユーザーにとって、ぴったりなモデルを見つけるためのガイドブックになるはずだよ。

オープンソースTOPプロジェクト

OpenAIの「Codex」プロジェクト、これ、軽くてパワフルなコーディングAIエージェントなんだ✨。直接ターミナルで動くし、 GitHub（AIニュース）では3.26万以上のスターを獲得してるよ。AIの知恵がコマンドラインワークフローにシームレスに統合されてるから、開発者はウィンドウ切り替えなしでコードの提案やヘルプが得られるんだ。ターミナルが大好きなギークたちにとっては、まさに夢のようなプログラミングパートナーだね！
デジタル製品やSaaSサービスをサクッとマネタイズしたいなら、「Polar」がまさにうってつけのオープンソースエンジンだ💰。これを使えば、数分で販売システムが構築できちゃうんだ。今、 GitHub（AIニュース）では6.1千以上のスターを集めてるよ。面倒な裏方作業は全部引き受けてくれるから、プロダクトの磨き上げに集中できるんだ。個人開発者や小規模チームにとってはまさに救世主！
Googleがリリースした「adk-python」は、コードファーストなPythonツールキットで、複雑なAIエージェントの構築、評価、デプロイに特化して設計されてるんだ🔧。 GitHub（AIニュース）で1.17万以上のスターを獲得して人気を集めているよ。このプロジェクトは、最初から最後まで、きめ細かな制御を提供してくれるから、本当に柔軟で信頼性の高いAIエージェントを開発できるんだ。これは、シンプルなプロンプトエンジニアリングから、より成熟して制御可能なAIエージェント構築の時代へと移行してる証拠だね。

ソーシャルメディア共有

OpenAIモデルの自動切り替え機能、「Model Auto Switcher」が、調子が悪かったり良かったり…と感じたら、それはあなたのせいじゃないんだ😂。実は本当に壊れてるんだって！宝玉（バオユー）氏が内部情報を伝えてくれたんだけど、問題があって、今修正中なんだってさ。このちょっとした出来事（AIニュース）は思わず笑っちゃうよね。トップレベルのAIシステムも「再起動」が必要なんだから。
宝玉（バオユー）さんが激推ししてるんだけど、GPT-5と深く統合された「Codex CLI」はマジでヤバいらしいよ🚀！能力が以前とは比べ物にならないレベルになってるんだって。更新してChatGPTアカウントにログインするだけで、ターミナルで超強力なプログラミングアシスタントがアンロックされるんだ。最先端のAIコーディングを体験したいなら、最先端のAIコーディング - (AIニュース) 今すぐアップグレードしてみよう！
とあるユーザーがGPT-5のフロントエンド能力を試したところ、前のバージョンよりは明らかに進化してるけど、一部ではGeminiやClaudeにはまだ及ばないって結果が出たんだ💡。このシェアされた投稿（AIニュース）は、モデルごとに得意なことがあって、絶対的な王者はいないってことを如実に示してるね。さらにすごいのは、元のツイートのコメント欄が、プロンプトエンジニアリングの「秘伝書」交換所になっていて、実践的なヒントが満載なんだ！
AIがなぜ青紫色を好むのか、BigYe程普（ビッグイェ・チョンプー）氏がその面白い謎を解き明かしてくれたんだ🎨。なんと、その理由は5年前にTailwind CSSの創業者がデフォルトのボタンカラーを藍色（インディゴ）にしたこと！たったこれだけの設定が、膨大なデータを通して「学習」された結果、最終的にAIの「美的感覚」を形成しちゃったんだ。まさに美しい偶然 - (AIニュース) だね。
AI界でまたまた「素人集団かよ！」って笑える話があったんだ😅。アリババの「Qwen」モデルが生成した画像に、なんと競合の「即夢（ジームー）」のウォーターマークが確率的に混じってたんだって！Yangyi（ヤンイー）氏が辛辣にツッコんでたけど、これは大手企業でさえデータクリーニングをサボってる可能性もあるってこと。バッチ処理で解決できるようなことなのに、まさかの形で学習データの出所 - (AIニュース) をバレちゃったね。
2025年にもなって、まだ小学生レベルの論理クイズでトップAIを試してるの？😂 あるユーザーが「娘が38点取った」っていう問題を出したんだけど、結果が爆笑ものだったんだ。なんとo3とGPT-5 Thinkingだけが正解で、GeminiとClaudeは次々に撃沈しちゃったんだって。この面白いテスト - (AIニュース) は、モデルの性能がどれだけ高くても、人間の常識的な推論とは必ずしも完全に一致しないってことを改めて証明してるね。
Redditのある投稿によると、「GPT-5 Mini (High)」が、ARC-AGIランキングでなんとGemini 2.5 ProやClaude Opus 4をひっそりと追い抜いたらしいんだ！✨スコアも高いし、コストも大幅に安くなってるんだから、このニュース（AIニュース）は「小さいのにすごいパワー！」ってことを完璧に表してるね。AIの世界では、より小さく、より効率的なモデルが驚くべきエネルギーを発揮できるってこと、コスパこそ最強なんだってことを証明してるよ。
Yangyi（ヤンイー）氏がこんな警告をしてるんだ🚨。AIを使うシーンが増えてる今、絶対に「モデルの幻覚」に騙されないよう、しっかり注意しないとダメだよって。彼はAIブラウザがデータ整理でとんでもない間違いを犯した例を挙げて、AIがいかに真面目な顔して「デタラメ」を言うか、如実に示してくれたんだ。この役立つ落とし穴回避ガイド - (AIニュース) では、人の手による確認の重要性を強調していて、ついでに自社のもっとすごいツールを予告してたけどね。

AI製品の紹介: AIClient2API

AIモデル間の切り替えが面倒で、APIの利用制限にイライラしてる？そんな君に、究極の解決策があるんだ！「AIClient-2-API」がそれだよ。これはただのAPIプロキシじゃない。Gemini CLIやKiroクライアントなどのツールを魔法みたいに強化して、パワフルなOpenAI互換APIに変身させる魔法の箱なんだ✨。

このプロジェクトの最大の魅力は、その「逆転の発想」と強力な機能にあるよ。

✨ クライアントをAPIに変身させて、新しい使い方をアンロック！ Gemini CLIのOAuthログインを賢く利用して、公式の無料APIが持つ速度や利用制限を簡単に突破できるんだ。さらにすごいのは、Kiroクライアントのインターフェースをラップすることで、そのAPIをハックすることに成功！これで、無料で強力なClaudeモデルをスムーズに呼び出せるようになるんだ。これはつまり、**「無料のClaude APIとClaude Codeを使って、プログラミング開発を経済的かつ実用的に進める方法」**を提供してくれるってことだね。

🔧 システムプロンプトは君がコントロール！ AIをもっと思い通りに動かしたい？このプロジェクトでは、強力なシステムプロンプト（System Prompt）管理機能を提供してるよ。リクエスト中のシステムプロンプトを簡単に抽出したり、置き換え（‘overwrite’）たり、追加（‘append’）したりできるから、クライアント側のコードをいじる必要なしに、サーバー側でAIの挙動をきめ細かく調整できるんだ。

💡 トップレベルの体験を、庶民的なコストで！ 想像してみてよ、自分のエディタでKiloコードアシスタントとCursorの強力なプロンプトを組み合わせて、好きなトップレベルのLLMを動かすなんて…。「CursorじゃなくてもCursor並み」ってことだね！このプロジェクトがあれば、有料ツールに匹敵する開発体験を、極めて低いコストで組み合わせられるんだ。さらにMCPプロトコルや画像、ドキュメントなどのマルチモーダル入力にも対応してるから、アイデアが制限されることもないよ。

面倒な設定や高額な請求にさよならして、無料、強力、柔軟性を兼ね備えたAI開発の新たなパラダイムをぜひ体験してみてね！

AIニュース日報音声版

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AISF小説 - 『ウォッチャー』

第七章：プロメテウスの贈り物

1.（遠古）

コリ（Kli）からの「贈り物」は、部族の目に見えない形で現れ始めたんだ。ある時は石の槍で喉を正確に貫かれたカモシカで、翌朝の採食ルートにそっと置かれていた。またある時は、硬い殻が剥かれたナッツが、洞窟近くの平らな岩の上にきれいに積まれていたことも。ひどい土砂降りの後には、洞窟の入り口に大きな葉や枝で作られた素朴ながらも効果的な小屋が置かれていて、洞窟の地面が濡れるのを防いでくれたことさえあったんだ。こうした「プロメテウスの贈り物」のおかげで、部族は厳しい干ばつ期をなんとか生き延びることができたんだ。

でも、これらの贈り物が感謝を生むことはなかった。むしろ、より深い恐怖と迷信を呼び起こしたんだ。部族の人々は、これらの食料や避難場所がどこから来たのか理解できなかった。彼らには、陰で自分たちを守る孤独な姿は見えなかったからね。彼らの乏しい想像力では、このすべてを何らかの超自然的な力、つまり草原をさまよう、気まぐれな「鬼神」の仕業だとしか考えられなかったんだ。彼らは出自不明の食料に対し、原始的な崇拝を始め、畏敬の念を込めた叫び声を上げたんだ。首領グロン（Gron）はこの行為を黙認し、自ら率先して誘導した。なぜなら、目に見えない、実体のない「鬼神」は、目に見える、並外れた知恵を持つコリよりも、はるかに彼に利用され、コントロールしやすかったからだ。彼は自らをこの「鬼神」の部族における唯一の「代弁者」として仕立て上げ、新しい「贈り物」が現れるたびに、彼が最初に前に出て、儀式的な咆哮を上げ、それから食料を分配していったんだ。このようにして、グロンはコリがもたらした命の恵みを、自分の統治を固めるための資本へと巧みに変えていった。彼の権威は、この迷信的な雰囲気の中で、下がるどころか、むしろ高まっていったんだ。

ただ、オナ（Ona）だけは、うっすらと真相に気づいていた。彼女はまだ生きていた。前回コリが彼女を見なかったのは、彼女が採食中に足を怪我し、ずっと洞窟の奥で療養していたからだ。彼女の足はもう治っていたけれど、以前にも増して口数が少なくなっていた。彼女は何回も部族の中で探したけれど、コリの姿を見つけることはできなかった。でも、彼女はあの「贈り物」の中に、コリの痕跡を見つけることができたんだ。石の槍で正確に貫かれた、きれいな傷口。鋭い石片で切り取られた、なめらかな植物の根茎。これらは、彼女がかつてコリのそばで見ていた、彼だけの「手口」だった。彼女は、コリが死んでいないことを知っていた。彼は近くにいて、彼なりのやり方で、かつて彼を捨てたこの部族を守っているんだ、と。この発見は、彼女に大きな悲しみをもたらした。彼女は母親に、さらには他の数人の若い女性たちに、そのことをそれとなく伝えようとしたけれど、彼女たちはみな、まるで狂人を見るような目で彼女を見て、何かの不吉なものに触れたかのように恐れて走り去ってしまった。彼女たちは、幻影のような鬼神を信じることを選び、追放された仲間がそのような能力を持っているという事実を受け入れようとはしなかったんだ。

ある夜、オナは大胆な決断をしたんだ。全員が眠りについたのを見計らって、そっと洞窟を抜け出した。彼女は、お気に入りの、野獣の牙を連ねたネックレスを持っていった。それは彼女にとって唯一の大切な「財産」だった。彼女はコリを見つけ出し、これを彼に渡して、少なくとも一人だけは、彼のしたことを知っていて感謝している、ということを伝えたかったんだ。彼女は暗闇の中を手探りで進み、直感とコリの行動パターンへの推測を頼りに、以前水源を見つけた谷へと向かった。

しかし、彼女はコリを見つけることはできなかった。彼女が見つけたのは、もっと大きな危機だったんだ。その谷の入り口で、彼女は一群のハイエナを目にした。その数は非常に多く、これまでに彼らが見たどのハイエナの群れよりもはるかに多かった。彼らは明らかに、この地域に残された水源と、コリが残した獲物の匂いに引き寄せられてきたのだ。彼らはすぐに攻撃を仕掛けることはせず、周囲をうろつきながら、非常に忍耐強い、日和見主義者のように、谷の中にいる部族を観察していた。オナは肝を潰すほど驚いた。彼女は知っていた。このハイエナの群れに部族の弱さが悟られれば、彼らはためらうことなく致命的な攻撃を仕掛けてくるだろうと。彼女は転がるように洞窟へ駆け戻り、甲高い叫び声で部族全員を起こした。グロンと他の男たちが谷の入り口に駆けつけ、月光の下で幽かに緑色に光る無数の目が黒々とひしめき合っているのを見たとき、全員が身を切るような寒気を感じた。グロンはすぐに防御態勢を整えた。しかし、彼らはあまりにも虚弱で、人数も少なすぎた。

その絶望的な瞬間に、谷の反対側から、突然オレンジがかった赤い光が輝いた。それは、火だった。

コリが現れたんだ。彼は燃える松明を片手に、もう一方の手に投槍器を持っていた。彼はたった一人で、ハイエナの群れの側面に立っていた。まるで空から降りてきた、炎に包まれた戦神のように。ハイエナは火に対して生まれつきの恐怖心を持っていた。彼らはその揺らめく炎を見ると、たちまち騒ぎ出し、不安げな低い唸り声を上げた。コリは微塵もためらわなかった。彼は燃える松明を、ハイエナの群れが最も密集している場所へと力強く投げつけた。松明は乾いた草地に落ち、一瞬で一帯を燃え上がらせ、火の壁を形成してハイエナの退路を断った。それから、彼は投槍器を使って、あらかじめ用意しておいた、油を染み込ませた草を先端に結びつけ、火をつけた「ロケット」を、パニックになったハイエナたちに正確に射ち込んだんだ。火の光、悲鳴、毛が焦げる匂いが混ざり合い、地獄のような光景が広がった。ハイエナの群れは完全に崩壊し、叫びながら四散し、あっという間に夜闇の中に消えていった。

谷は再び静けさを取り戻した。部族の人々は、ただ呆然とそれを見ていた。松明を手に、たった一人でハイエナの群れを撃退したその姿を。今度は、遠い、出自不明の「贈り物」じゃなかった。生きた、議論の余地のない「神の奇跡」だった。かつて彼らが追放した「異端者」が、彼らにはまったく理解できない方法で、再び彼らを救ってくれたのだ。

コリはゆっくりと洞窟の入り口へと歩み寄った。彼の身につけた獣の皮は、火の光の下で明滅し、顔は煙で黒く煤けていたけれど、彼の両眼だけは、驚くほど輝いていた。グロンは彼を見て、体が微かに震えていた。彼が感じたのは、もはや嫉妬や脅威ではなかった。それは生命の最も深い部分から湧き上がる、より高次の力に対する絶対的な畏敬と恐怖だった。彼の手から石斧が「カラン」と音を立てて地面に落ちた。彼は思わず、ゆっくりと膝をついた。首領が跪くのに続いて、部族全員が、一人、また一人と跪いていった。彼らはコリに向かって、かつて彼らが捨てた同類に向かって、誇り高い頭を下げた。

オナだけは跪かなかった。彼女は群衆の最後に立ち、涙を流していた。コリの帰還を喜びながらも、彼女は跪いている部族の人々の目に、親愛も、理解もなく、ただ神への崇拝だけがあるのを見ていた。コリは彼らの前に立ち、自分の部族に神のように崇拝されていた。しかし、彼はこれまで以上に孤独を感じていた。なぜなら、この瞬間から、彼はもう元には戻れないことを知っていたからだ。彼はもはやコリではなく、彼らの仲間ではなかった。彼は、彼らが想像する、あの孤独な「神」となったんだ。

2.（近未来）

リン・ヤオ（Lin Yao）の「デジタルゴースト」は、「パンドラ」基地のネットワークに48時間も潜伏していた。それはまるで忍耐強いハンターのように、システムのあらゆる鼓動を学習し、通常のデータパケットの偽装を模倣しながら、何重ものファイアウォールや侵入検知システムをすり抜けていった。そして、成功したんだ。B7区のコアサーバーから送られてきた最初の断片化されたデータストリームが、あの隠れたバックドアを介してリン・ヤオの研究室のターミナルに伝送された時、彼女とエイヴァ・ジェンセン（Ava Jensen）は二人とも息を呑んだ。これらのデータが再構築・解読され、彼女たちの目の前に現れたのは、冷たいコードなんかじゃなくて、一つ一つの…生命のファイルだった。「なんてこと…」エイヴァは手で口を覆い、目に驚愕の色を浮かべた。「これ…全部人間じゃない！」スクリーンには、詳細な個人ファイルがずらりと並んでいた。氏名、年齢、国籍、遺伝子配列、そして…「認知可能性指数（CPI）」という評価スコア。これらの人々は世界各地から集められており、数学分野で並外れた才能を発揮する少年、記憶力が群を抜いて優れた学者、芸術において極めて創造的な画家、さらにはサヴァン症候群と診断された自閉症患者も数名含まれていた。彼らに共通していたのは、遺伝子検査で「ウォッチャー遺伝子」の「半活性化」状態を示していたことだ。プロメテウス社は、過去10年間、世界中で密かにこれらの「ウォッチャー」の現代の子孫を探し、監視していたんだ。そして、リン・ヤオが最もゾッとしたのは、それぞれのファイルの後ろに「回収済み」または「回収待ち」という状態が記されていたことだった。

「回収…」リン・ヤオは呟いた。「彼らはこれらの人々を、何だと思ってるの？実験材料にでも？」

「たぶん、それよりひどいよ。」エイヴァは別のデータセット、B7区のリアルタイム監視映像を呼び出した。その「デジタルゴースト」の権限はまだ低かったため、映像はぼやけて不安定だったけれど、中の光景をはっきりと確認するには十分だった。B7区は、データバックアップセンターなんかじゃなかった。そこは巨大な円形の生命維持ホールで、中央には青い光を放つ巨大な低温冷却槽があった。そしてこの冷却槽の周りには、何十もの透明な「生命維持ポッド」が並んでいた。一つ一つの生命維持ポッドには、人が横たわっており、体には様々なチューブや電極が差し込まれていた。彼らは皆、深い昏睡状態にあった。そして彼らの生命兆候は、それらのチューブを介して、中央の巨大な冷却槽と接続されていたんだ。彼らこそが、ファイルに「回収済み」と記されていた人々だったんだ。

「彼は何を…？マーカスはいったい何をやってるの？」エイヴァの声が震えた。リン・ヤオの視線は、中央の冷却槽に釘付けになっていた。彼女の「デジタルゴースト」は、ついにその表面データにまで浸透した。その冷却槽の内部構造図が解析された時、リン・ヤオは目まいがするような衝撃を受けた。その中身は機械でも、AIのコアでもなかった。その中には…脳があったんだ。それは肉体から切り離され、栄養液の中に単独で保存され、無数の光ファイバー電極を通じて外部システムと接続された、生きた人間の脳だった。この脳のサイズは、通常の人間のものより30%近くも大きかった。その神経活動の強度は、人間の限界の数十倍に達していた。そしてそのエネルギー供給は、周囲の生命維持ポッドにいる人々から得られていたんだ。マーカス（Marcus）はまるでバッテリーから電気を搾り取るように、これらの「天才」たちの脳の生体電気を吸い上げ、この「スーパーブレイン」の稼働を維持していたんだ。

「アダム…まさか『アダム』ってAIじゃなくて…」リン・ヤオの声は乾いてかすれていた。「それは…無数の天才たちの脳を繋ぎ合わせ、融合させて作られた…生体スーパーコンピューターだったのね。」マーカス・ソーン（Marcus Thorne）の狂気は、彼女の想像をはるかに超えていた。彼はAIの神を創造しようとしていたわけではない。彼は人類の最も優れた脳を使って、生きた「神」を「飼いならそう」としていたのだ。そして彼がリン・ヤオの研究を必要としていたのは、この「スーパーブレイン」が強力ではあるものの、まだ不安定で、真の、根源的な創造力が欠けていたからだった。彼は「ウォッチャー遺伝子」の完全な活性化シーケンスを、最後の「点火プログラム」として必要としていたのだ。無数の脳の断片が繋ぎ合わされたこの「フランケンシュタイン」を、真に統一された、自己意識と無限の創造力を持つ「神」へと統合するために。これこそが、プロメテウス社が「エデン」の陰に隠していた、最も暗い秘密だった。

「私たちは彼を止めなければならない。」リン・ヤオは言った。その声は小さかったが、一言一句が鋼鉄のように固かった。

「どうやって止めるの？」エイヴァはすでに半ばパニック状態だった。「私たちはここに閉じ込められてるのに、彼は何十もの人命を握ってるし、もうすぐ「怪物」が誕生しちゃうんだよ！」

リン・ヤオはすぐには答えなかった。彼女は研究室の窓辺に行き、窓の外に広がる、精巧にデザインされた、偽りの熱帯の楽園を眺めた。彼女はコリのことを思い出した。松明を手に、たった一人でハイエナの群れに立ち向かったあの夜を。敵が圧倒的に強大で、退路がすべて断たれた時、唯一できること。それは、自分自身を敵よりもさらに危険で、予測不可能な存在に変えることだ。

「マーカスは、『ウォッチャー遺伝子』の活性化シーケンスが、彼が創る神への贈り物だと思ってる。」リン・ヤオはゆっくりと振り返り、その目にほとんど狂気めいた光を宿らせた。「だったら、私たちも彼に本物の『贈り物』をしてあげようじゃない。」

「エイヴァ、」彼女は副手に言った。「『ニューロン浸透』アルゴリズムのコアに接続するのを手伝って。私はそれに修正を加えるつもり。私はそれを…本物の『ウイルス』に変えるわ。」

「情報を盗むだけじゃなく…情報を書き換えることもできるウイルスに。」

「マ…マーカスは「点火プログラム」が欲しいって？じゃあ、くれてやるわ。ただし、そのプログラムの最終行のコードは、私が書く。」

「彼が神を創造したいなら、その神が誕生した瞬間に、150万年前の、あの真の『ウォッチャー』からの…挨拶を受け取るようにしてやるわ。」

最終更新日 2025/08/22 00:52:32

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